椅子に座っていると、腰に重い痛みを感じませんか? すぐに疲れて集中力が切れてしまいませんか?
現代人は、一日の中で「椅子に座って過ごす時間」が非常に長くなっています。これが腰痛を引き起こしている大きな原因になっているのです。
特にデスクワークをしている人は、正しい姿勢で椅子に座ることを心掛けましょう。姿勢を矯正することで、長年の腰痛の悩みが解決されるかもしれません。
長時間パソコンで作業をしている人や、オフィスで仕事をしている人は、ぜひお読みください!
椅子に座る時の正しい姿勢とは?
そもそも正しい姿勢とは、どのような姿勢でしょうか? これを知ることから始まります。
先に言ってしまうと、椅子に座る時の正しい姿勢とは、「できる限り骨盤を立てて、背筋を伸ばし、自力で座っていられる姿勢」ということになります。
骨盤を立てる方法は後で説明しますが、正しい姿勢と言われたら、何となくイメージできますよね? それほど難しいことではありません。
それなのに「なぜ正しい姿勢が出来ていないのか?」と言えば、普段から意識していないためです。私もそうでしたが、私は自分の猫背の姿勢にすら気付いていませんでした。
猫背の姿勢が身に付いてしまうと、そのほうが楽にも感じるのですが、これは腰痛の原因になります。自分で意識して、姿勢を矯正していかないといけません。
とはいえ、「普段から意識して、背筋を伸ばして座りましょう!」の呼び掛けだけでは、読んでも得るものがありませんね?
正しい姿勢にもコツというものがありますので、ポイントをご紹介していきます。
正しい姿勢のポイント
正しい姿勢のポイントは、まずは体の土台となる骨盤の使い方にあります。座っている時は、この骨盤で体重を支えているわけです。
実は、男女で骨盤の形は異なっているのですが、正しい座り方のポイントは変わりません。以下の項目を、参考にしてみてください。
骨盤を立てて座る
上記のイラストをご覧ください。「坐骨」で座るようにすると、自然に骨盤を立てて座れるようになります。
そうすることで、腰が安定して、力を抜いていても正しい姿勢で座れます。本来の腰のカーブも作ることができます。坐骨とは、まさに座るための骨なのです。
ところが、ちゃんと坐骨で座れている人は少ないようです。坐骨ではなく、「仙骨」のほうに体重を掛けている人が多く、毎日お尻や腰の筋肉に大きな負担を掛けています。
これが椎間板ヘルニアや、坐骨神経痛を発症させている大きな原因にもなっています。
では、坐骨で座る方法をご紹介します。
1. 片方のお尻の下に手の平を入れます。
2. そのままの状態でお尻に体重をのせます。そうすると、手の平に尖った固い骨を感じることができます。それが坐骨になります。
3. 場所が分かったら、坐骨の前側に手を引っ掛けて、後ろに引っ張って下さい。
4. 座っている座面に「坐骨の前側」が当たっている感覚があれば成功です。
両足はしっかり床につける
坐骨で座る感覚がつかめたでしょうか? 他にも注意する点として、足の位置があります。
股関節とひざの高さは、横から見て平行になるようにします。上の写真をご覧ください。
一見、正しい姿勢をしているように見えますが、ひざの高さが股関節よりも高くなっていますね? これでは骨盤にのみ、ずーんと体重が乗ってしまいます。この場合は、椅子を高く調整してください。
逆にひざの位置が下がっていると、太ももの裏の筋肉が圧迫されて、血行不良を起こしてしまいます。この場合は、椅子を低く調整してください。
さらにもう一点、確認してください。椅子に座っている時、つま先だけをちょこんと床につけていませんか?
それでは上半身が不安定になり、姿勢が崩れやすくなります。ひざの真下に足を置くようにして、足の裏をしっかりと床につけてください。ひざの角度が直角になっているのが理想です。
よく足を組む癖を持っている人もいますが、もちろん、それも良くありません。骨格の歪みを作る原因になります。
パソコンのディスプレイの位置に注意する
デスクワークをしている人は、パソコンのディスプレイの位置に注意してください。座った時、左右どちらかの位置に偏って置いてありませんか?
それだと、左右どちらかの方向に体をねじっている状態になります。毎日、左右に偏った姿勢を続けていると、股関節や骨盤に負担を掛け、骨格の歪みを作ってしまいます。
パソコンのディスプレイは、必ず真正面に置いてください。
また、ディスプレイが低い位置にあると、目線がうつむき加減になり、猫背になりやすくなります。
私の場合、ディスプレイの高さを変えられなかったので、厚みのある本をディスプレイの下に敷いて、高さを調整してみました。そのほうが楽な姿勢で見られますし、猫背も防げます。
猫の習慣に見習う
座る時の正しい姿勢について、3つのポイントを紹介しました。でも、正しい姿勢であっても長い時間、同じ姿勢で座り続けることは、やはり良くないのです。
なぜならば、筋肉は動かさずにいると血行が悪くなり、硬くなるという性質を持っているからです。これは腰痛の原因になります。
私は猫を飼っているのですが、猫も寝起きには、全身を使ってギュイーンと背筋を伸ばします。その時の筋肉のブルブルッとした動きは、床から伝わってくるほどです。
猫はそうやって、寝ていた間に緊張してしまった筋肉を緩めているんですね。
また猫は、しょっちゅう毛づくろいをしています。一説によると、猫は起きている時間のうち、約30%もの時間を毛づくろいに費やしているそうです。
考えてみると、猫は毛づくろいをしていると同時に、全身のストレッチもしているのではないでしょうか?
ヨガの先生も顔負けのポーズをして、頭から尻尾の先まで余すところなく毛づくろいしています。そうすることで体のあらゆる筋肉も、ストレッチされているわけです。
猫は体が非常に柔軟で、しなやかな動きができます。その柔軟性を保っている秘密は、「背筋を伸ばす運動」と「毛づくろい」の習慣にあるのだと思います。
人間には、猫のような真似はできませんが、猫の習慣を見習うことはできます。
長い時間、椅子に座り続けていると思ったら、椅子から離れて、ゆっくりと背筋を伸ばしたり、軽い運動をしてみましょう。それだけでも緊張していた筋肉は緩みます。
校長先生の座り方が、私のお手本
私は「正しい座り方」と聞くと、小学校の時の校長先生を思い出します。
掃除の時間になると、各班のグループに分かれて担当の場所を掃除していたのですが、校長室の掃除も順番で回ってきました。
掃除をする時には、室内に校長先生がいて、椅子に座っていることが多くありました。
その時、いつも校長先生はピンと背筋を伸ばし、椅子に深く腰を掛けています。少しお尻を突き出して、腰椎の辺りに適度なくぼみが出来ていました。その姿が今でも目に浮かびます。
「正しい座り方とは、このような座り方なのだな」と子どもながらにも感心したものです。「校長先生って、やっぱり偉いんだな」と、その座り方だけを見て、友達とささやき合っていたのも覚えています。
普段は馴染みがないだけに、校長先生ってどんな人なんだろう?と、けっこう子どもは注意深く観察しているものなのですね。
校長先生が意識していたかどうかは分かりませんが、今思うと、私たちに無言で正しい座り方の教育をしてくれていたのかもしれません。
かれこれ数十年も前の話です。その後、大人になってから、私は腰痛になってしまいました。そして腰痛を発症させる原因は、座っている時の姿勢にあると知りました。
私は「正しい姿勢をしなければならないな」と思う時、校長先生が座っている姿を思い返して、今もお手本にしているのです。
当時の校長先生の年齢を考えると、恐らく、もうお亡くなりになられていると察します。しかし、今でも私の目には、校長先生が綺麗な姿勢で座っている姿が、目に焼き付いているわけです。
骨盤クッションで姿勢を矯正する
正しい姿勢は、自分では目で確認することができないので、イメージも大切ですね。私は、校長先生の座っている姿がすぐに目に浮かぶので、イメージがしやすいです。
また、骨盤を立てて座る感覚を、体で覚えてしまうと早いです。身に付いてしまえば、意識しなくても正しい姿勢で座れるようになります。
とはいえ、最初はすぐに姿勢が崩れてしまうかもしれません。また、馴れないうちは疲れるものなのです。私もそうでしたが、デスクワークに集中していると、知らず知らず、いつもの猫背に戻ってしまうことが度々でした。
そこで、座っているだけで姿勢を矯正してくれる「骨盤クッション」の使用もお勧めします。骨盤を立たせる座り方も、これならば自然に身に付けることができます。
実は、正しい姿勢を身に付けると、腰痛の改善だけでなく、ボディラインもすっきりしてきます。
骨盤クッションについては、上記で詳しく書いていますので、ぜひ併せてお読みください!