腰痛になった人は、「なぜこんなに腰が痛いんだろう?」と経験のない酷い痛みに悩むと思います。
今はインターネットが普及しているので、いろいろと自分でも調べてはみるのですが、とにかく情報がありすぎて分からない…。いろんな方々が腰痛の原因を、もっともらしく述べているわけです。
頼みの綱である病院や治療院に行っても、病名を付けられるだけです。結局、このもやもやとした気持ちを解消することができない人たちは、大勢いるのではないでしょうか?
私のぎっくり腰の原因は何なのか?
私がぎっくり腰になった時、いちばん最初に思ったことは「どうすれば痛みを軽くできるか?」ということでした。
とにかく腰が痛くて痛くて、真っ直ぐに立って歩くこともできないわけです。
介護されている老人みたいに、トイレに行くのにも家族の支えが必要なんですから、本当に情けなかったです。こんな状況になったら、一日も早く腰痛から解放されたい!と誰もが思いますよね?
そして、次に思ったことは、「私のぎっくり腰の原因は何なのか?」ということでした。原因が分からなければ、解決方法が見つからないからです。
でも、後で知ったことですが、腰痛の原因は、そう簡単には分からないんですよね。実は、医者や専門家に聞いてみても、そうなんです。
椎間板ヘルニアと診断される
最初に行った治療院の先生からは、私のぎっくり腰は「椎間板ヘルニア」だと診断されました。
先生に上記のような腰椎の模型を見せられて、「椎間板の内部にある随核が、はみ出して神経を圧迫している」というような説明を受けました。
「ぎっくり腰」とは症状を表す一般的な名前であって、「椎間板ヘルニア」というのが正式な病名なんです。素人には、そうしたことも分かりませんよね。
最初に聞いた時には、「なるほど」と素直に思いました。人間は、病名が分かると、とりあえず安心するところがあります。
筋トレを始めなければ、腰痛は治る?
私は、腰に大きな負担を掛けてしまったために、椎間板ヘルニアになってしまったわけです。
しかし、病名を知らされたところで、私には何もできません。しばらく様子を見てから、また通院するだけです。この期間が辛いわけです。痛みに耐えながら、いつ治るのかも分からない日々です。
「何かできることはないのか?」と、考えました。椎間板ヘルニアとは病気というよりも、「椎間板の損傷による体の故障であり、いわば怪我のようなものなのか?」とも思いました。
知らず知らず、体が弱っていたのかもしれません。椎間板を鍛えることは無理でも、骨を支えている筋肉を鍛えることは可能です。それが一番の腰痛の改善方法、および予防方法ではないか?と考えました。
私は当時、運動不足を自覚していたので、「腰痛=筋力の低下が原因」と理解したわけです。
「さっそく筋トレを始めなければいけないな」と思い、もやもやとしていた頭の中が、ようやく整理できたのを覚えています。
ぎっくり腰は、原因がわからない腰痛?
でも、勘違いしないでください!
上記の内容は、当時の私が勝手に想像した結論なので、事実は異なるのです。腰痛の原因は、そんなに明確なものではないのですね。
少し難しい言葉になりますが、腰痛は専門用語で下記の2つに分類されています。
2 非特異的腰痛…痛みの原因が特定できないもの
腰痛は「原因が特定できる腰痛」と、「原因が特定できない腰痛」の2つに分類されているのですが、実は、腰痛の約85%は、原因がよく分からない腰痛なのです。
②の非特異的腰痛のほうが、圧倒的に多いのです。
では、椎間板ヘルニアという病名が付けられている「ぎっくり腰」は、どちらでしょうか?
「えっ?」と思うかもしれませんが、これも原因が特定できない非特異的腰痛なのです。どうりで、治療院の先生も、具体的なぎっくり腰の原因を説明してくれなかったわけです。
ぎっくり腰の痛みの原因を細かく分けると、「背骨(腰椎部)や骨盤(仙腸関節)の捻挫」「腰部筋肉の損傷」などが考えられますが、どの組織に何が起こったのか、医師が診察しても、精密機器で検査をしても厳密には特定できないため、これもやはり「原因がわからない腰痛(非特異的腰痛)」に分類されます。
『腰痛が治るのはどっち?』より
神経管や血管も写し出せるMRI検査
レントゲンやCT、MRIの検査などの登場で、医療現場は高度に進化しているのに、なぜ腰痛の原因が分からないのでしょうか?
ちなみに、レントゲンやCT検査は、放射線(X線)を使って、体内の骨を写し出すことができます。外からは見えない骨の異変や変化を見ることができる素晴らしい技術です。
また、MRI検査では、強力な電磁波を使って、内臓や神経管、血管を写し出すことができます。感染症や腫瘍の有無、神経や血管、軟骨などの異常を発見できます。
これらの高度な技術によって、「背骨が変形している、ズレがある」「軟骨が潰れている」「ヘルニアがある」「脊柱管が狭くなっている」などが分かります。
「そんなに詳しいことまで分かるのならば、原因が特定できるじゃないか!」と思いますよね?
画像検査では、腰痛の原因を写すことができない?
実は、骨や骨格に歪み異常が見つかっても、必ずしも腰痛が発症しているわけではないという、体の不思議があるのです。
たとえ椎間板がズレていても、腰痛を感じていない人もいるわけです。
また、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査をする時には、体を横にしたり、機械につかまったりして、姿勢を補正されますよね?
これは比較的、痛みを感じない時の状態です。そのような状態で写しても、正しい結果が出るとは限りません。痛みを発している状態で撮らなければ、意味がないかもしれないのです。
結論を言えば、レントゲンやCT、MRIなどの画像検査では、「原因を写すことができない」ということも有りうるということです。
これはある意味、患者よりもレントゲンなどの画像ばかりを見てしまう現代医学の問題点なのだと思います。
「腰痛は自分で治していく」という気持ちが大切
医学が進歩すればするほど機械に頼ってしまって、昔ながらの問診が軽視されてしまうという盲点があるわけですね。
これは腰痛に限った話ではなくて、「現代の医者は医療機器がなければ何もできない」という話を聞いたことがあります。医師自身も、そのように感じているのではないでしょうか?
このため医療現場でも、最初からレントゲンやCT、MRIの検査をするのではなく、「問診を重視するように!」という指導がされています。
腰痛の多くは、日常的な姿勢の問題や、仕草や行動の癖、職業環境による腰の負担などが積み重なって発症するものです。
患者に丁寧に問診をしたり、行動を注意深く観察すれば、原因を特定することは可能なのです。
原因が分からないと言っても、実際に腰の痛みを感じているわけですから、必ず原因はあるわけですね。
そして原因が分かったならば、「自分で治していくのだ!」という気持ちが大切です。
最終的には「手術」という選択もあるのかもしれませんが、そうなる前に、自分で腰痛を改善できる方法もあるのではないでしょうか?
腰痛について、焦らずに自分でも学んでみてください。悩みや不安は、「単に知らないだけだった!」ということも、けっこう多いのです。
腰痛の原因については、当サイトでも様々にご紹介していますので、参考にして頂ければ幸いです。