あなたは腰痛を起こしている本当の原因を、正しく知っているでしょうか?
私自身がそうであったように、この、本当の原因を正しく知って改善しないといつまで経っても腰の痛みに怯えた生活が続くばかりで、いっこうに腰痛は治りません。
以下、腰痛の本当の原因と、腰痛が及ぼす悪影響についてまとめていますので、参考にしてみてください。
病気とはあくまでも「結果」に過ぎない
私たちは腰の痛みを感じて医療施設や治療院に行くと、何かしらの病名を付けられます。それは椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症であったりします。
それを聞いて、私たちは「腰が痛い原因はそれだったのか!」と納得し、原因を知ったことで、とりあえず安心もします。患者にとっては原因不明の病気というのが、一番不安なわけです。
でも、考えてみてください。それが腰痛の本当の原因でしょうか?
椎間板ヘルニアなどの病気が腰痛の原因ではあっても、そもそも椎間板ヘルニアを発症させてしまった「根本の原因」があるはずです。
病気とはあくまでも「結果」であって、本当の「原因」ではないのですね。
腰痛の原因の85%は、原因が分からない?
医学的には、腰痛を原因別に分類すると、脊椎由来、神経由来、内臓由来、血管由来、心因性の5つに大別されています。
しかし、一口に腰痛と言っても、医学的にもその定義には曖昧な部分が残されていて、個人によっても腰痛の原因は様々です。原因をズバリ指摘することは、専門家でも難しいのです。
実際に、腰痛の85%は原因を特定できないことを、医師たちも認めています。逆に言えば、医学的には全体の15%しか腰痛の原因が特定できていないわけです。
ただ、それを理由にして本当の原因を棚上げにし、「あとは治療を続けながら様子を見ていきましょう」と言うだけならば、ちょっと不親切だと思うのです。
患者としては、医学的な難しいことは分からなくても、自分の腰痛を引き起こしている「根本的な原因」さえ分かれば、腰痛を改善できるのではないでしょうか?
テレビが映る仕組みなんて知らなくても、リモコンの操作方法を知っていれば、テレビは不自由なく見られます。
ある日突然、テレビが壊れたと思っても、実はリモコンの電池が切れただけだという原因さえ分かれば、それで十分なのだと思います。
本当の腰痛の原因を知る
腰痛について書かれた数多くの本を読むと、腰痛治療の医師や専門家たちが様々な立場で、様々な見解を述べています。読んでいると、ますます腰痛の原因が分からなくなったりもします。
しかし、腰痛について学んでいくうちに、実は同じことを言っていることに気付きます。話の切り口や、説明の対象が違っているだけで、大筋の結論としては、ほぼ一致しているのです。
本当の腰痛の原因というのは、実は難しいことではありません。医学的に腰痛の原因を語ろうとするから、途端に難しくなってしまうのです。
では、そもそも腰痛を引き起こしている本当の原因とは何でしょうか?
腰痛の原因を探っていくと、およそ下記の①②③の流れなります。補足は後回しにして、まずは簡単に腰痛の本当の原因をまとめてみます。
① 悪い姿勢を取り続ける
そもそもの腰痛の原因は、日常的に悪い姿勢を取り続けていることにあります。その代表例が「猫背」です。
猫背の姿勢というのは癖になりやすい姿勢です。特に現代人は、背中を丸めて椅子に座っている時間が増えたため、猫背になりやすい環境にも置かれています。
意識していないと、自然に猫背の癖が付いてしまうのです。猫背の癖が付くと、そのほうが楽な姿勢に感じます。私自身もそうでした。
ところが、楽な姿勢に感じても、身体を正しく機能させるためには、猫背は「百害あって一利なし」の悪い姿勢なのです。
腰痛の本当の原因は、悪い姿勢が身についてしまったことにあるのです。
② 身体が歪んで、筋肉が硬くなる
悪い姿勢をしていると、なぜ腰痛になるのでしょうか?
考えれば誰でも分かりますが、悪い姿勢をすれば身体に歪みが生じます。すると筋肉は、その歪みを補正しようとする働きをします。これによって、筋肉が緊張した状態になるのです。
筋肉が緊張した状態になると、筋肉は硬くなります。硬くなった筋肉には、縮む力が働きます。この縮む力によって、筋肉にくっついている骨も引っ張られてしまい、骨格の歪みを生じさせてしまうのです。
この骨格の歪みが、さらに別の筋肉も硬直させてしまい、悪循環になっていきます。
一度腰を悪くすると、だんだんと腰痛が重症化していき、肩や首まで痛み始めていくのは、このためです。
【腰の筋肉が硬くなり、身体全体にも波及していく仕組み】
(図は 「疲れない体」は指一本で手に入る (SB文庫) より)
腰の筋肉が硬くなると、縮む力が働いて、肋骨が下半身側に引っ張られます。
その影響で、肋骨周辺の筋肉も緊張した状態になって縮みます。すると肩の筋肉にも、悪影響が及んでいきます。
腰の筋肉から始まって、上にも下にも、やがて手足の先まで、身体全体に悪影響は波及していきます。
③ 硬くなった筋肉が血行を悪化させる
重要な血管や神経の多くは、実は筋肉の内部にあります。筋肉が緊張すると、血管を圧迫して、血行が悪くなります。
血行不良になると、血液が細胞の隅々まで栄養素を届けられなくなります。さらに、血液は体内の毒素を排出する役目もあるのですが、それが困難になります。
すると、筋肉の中に疲労物質(乳酸や老廃物など)が溜まり、緊張していた筋肉がさらに硬くなっていくという悪循環が起きます。
やがて筋肉に溜まった疲労物質が神経に触れて、「イタタタタッ!」という腰の痛みを発症させているのです。
ぎっくり腰などの急性腰痛は、急に激痛が走ったように感じても、すでに腰の筋肉が硬くなっていて疲労物質を溜め込んでいたのです。
実は、いつ痛みが発症してもおかしくない状態にあったわけですが、腰に強い負担が掛かった拍子に、疲労物質が神経に触れて痛みを発症させているわけです。
【腰痛が発症する仕組み】
上記のように、腰痛が発症していく仕組みが理解できると思います。
腰の痛みには、実は血行不良が大きく関わっているのです。この血行不良を改善するために、腰の筋肉を軟らかくする必要があるわけです。
つまり、結論はこうなります。
硬い筋肉を作り出す原因となっている「悪い姿勢」を正した上で、すでに硬くなっている腰の筋肉を、本来の軟らかい筋肉に戻していく。
その方法を正しく理解し、実践すれば、腰痛を治すことができるわけです。
腰痛は、新陳代謝や免疫力も低下させる
硬くなった筋肉が血行を悪くし、腰痛を発症させている仕組みについて書いてきました。でも実は、これは腰痛だけの話に留まらないのです。
他にも、腰痛が身体にどれほどの悪影響を及ぼすようになるかについて、簡単に補足しておきます。
腰の筋肉が硬くなって血行不良になると、新陳代謝がうまく働かなくなります。老廃物を十分に排出できないので、身体にどんどん毒素を溜め込んでいる状態になっているのです。
その結果、身体がむくみやすく、冷えやすく、太りやすい体質になります。同時に、疲れやすい体質にもなっています。
腰痛は、身体全体の免疫力を著しく低下させています。弱いウイルスにも抵抗できなくなり、病気になりやすい身体になってしまうのです。
腰痛を引き起こしている本当の原因が、猫背を代表とする悪い姿勢と聞いて、「それだけ?」と思ったかもしれません。
でも、「それだけ」のことが身体に及ぼしていく悪影響は、実に計り知れないのです。
身体の姿勢の癖に注目して、腰痛の改善に取り組む
腰痛になると、「とにかく腰の痛みを取り除きたい! もう、それだけでいい!」という気持ちになります。私自身もそうでした。
しかし、対症療法で一時的に痛みを取り除いても、腰痛の原因を取り除いたことにはならないのです。庭の雑草を刈っても、またすぐに生えてくるのと同じです。
腰痛に悩んでいる人は、そもそもの原因になっている「自分の身体の姿勢の癖」に注目して、腰痛の改善に取り組んでみてください。
補足説明
また、例えば事故で右足を怪我して、その後も右足を庇うような歩き方が癖になってしまうと、これも姿勢を歪めてしまう原因になります。