厚生労働省は2013年に、「腰痛患者は日本全国に2,800万人いる」と発表しています。これは国民のおよそ4人に1人は腰痛患者という、驚くべき結果になっています。
まさに腰痛は現代の国民病と呼ばれる所以ですね。
しかし、腰痛に苦しんでいる人がいる一方で、生涯を通じて一度も腰痛にならない人がいることも事実なのです。
その違いは、どこにあるのでしょうか?
腰痛になりやすい姿勢や動作
そもそもの腰痛の原因をご存知でしょうか? これを知らないと、腰痛の予防も改善もできません。
ズバリ言うと、腰の痛みの原因は、「筋肉の緊張」にあります。緊張して硬くなった腰部の筋肉に、痛みの原因となる疲労物質が溜まり、痛みを生じさせているのです。
ということは、腰痛になりやすい人は、筋肉の緊張を作り出している生活習慣を持っている人になります。
腰痛になりやすい人は、次のような姿勢や動作の習慣を持っているのです。
【腰痛になりやすい姿勢や動作】
椅子に座るとき、足を組む 立っているときに、片足だけに重心を置いている 床に座るとき、左右対称でない座り方をしている TVを見るとき、片側から見る。寝ながらみる かばんを片方の肩だけにかける。片方の手だけで持つ ボールを蹴るとき、投げるとき、利き足や利き腕だけで行っている
左右どちらかに偏った動作をしている
上記の「腰痛になりやすい姿勢や動作」は、生活の中の一部の動作に過ぎません。それでも、これらの項目に全く該当しないと言う人は、ほぼ皆無なのではないでしょうか?
国民のおよそ4人に1人は腰痛患者というのも、分かる気がしますね。
人間は立っていても、座っていても、無意識に左右どちらかに重心を置いているものです。右か左か、どちらかに偏った癖を持っているのですね。
私などもそうですが、ショルダーバッグは右肩に掛けることが多いです。左肩に掛けると、やはりしっくりきません。これは長年の癖によるものです。
また、夕食でテレビを見ている時には、テーブルの右側にテレビが置いてあるので、体も右側にねじった体勢になっています。
これらの習慣は、いつ腰痛になってもおかしくない環境を、自分自身で作り続けていることと同じなのです。意識して直していかないといけません。
腰痛の予防には、左右対称の生活習慣を!
『カラー版 9割の腰痛は自分で治せる (中経の文庫)』の坂戸孝志先生は、腰痛を予防するためには「左右対称の生活をしてください」とアドバイスしています。
特にデスクワークをしている人は、パソコンのディスプレイの位置に注意してください。
私の場合は、パソコンのディスプレイを2台、机に並べています。目の前のディスプレイをメインに使い、右側に置いているディスプレイには、資料やデータなどを表示させています。
このように画面が二つあると便利なのですが、右側のモニターをチラ見する動作が多くなります。結果として毎日、右側に偏った姿勢を続けることになりました。
今思えば、腰痛が酷くなり始めたのも、このようなディスプレイの置き方をしてからなのです。時期が一致しています。
当時は、こんな些細なことが腰痛の原因になるとは思ってもいませんでした。何も知らないでいると、そのまま気付かずに続けてしまうから恐いですね。
現在も2台のディプレイを置いていますが、並べ方を工夫し、右側だけに偏った動作にならないように注意しています。
ディスプレイに真っ直ぐに体が向いていない人は気を付けてください。ディスプレイの位置を、真っ直ぐに向けることをお勧めます。
デスクワークやスマホは、猫背になりやすい
骨格の歪みの原因は、左右に偏った姿勢だけではありません。デスクワークの仕事をしている人などは、どうしても前屈みの姿勢になりがちです。これは猫背の原因になります。
私もデスクワークをしているので、重度の猫背になっていました。しかし、私自身は特に意識していませんでした。ところが、他人から見れば、猫背の姿勢は一目で分かるのです。
それに気付かされたのは、運転免許証の更新で、写真撮影をしている時でした。警察署内の撮影担当者から、「もっと胸を張って、顔を上げてください」と注意されたのです。
私だって、そのつもりの姿勢でいたのですが、そう言われて、内心ショックでした。意識して胸を張っていたつもりなのに、それでも猫背になっていたのですね。
この時も腰痛が酷かった時期に重なっています。猫背の姿勢は、腰痛になる大きな原因の一つなのです。腰痛持ちの人は猫背になっていないか、他人に見てもらうといいと思います。
最近はスマホを使って、猫背になっている人も多いようです。スマホをしている時は、前屈みの俯いた姿勢で、背中を丸めていますよね?
本人は楽な姿勢でいるつもりでも、その状態は上半身の筋肉を緊張させています。習慣になると、腰痛や肩こりを発症させる恐れがあるので注意してください。
自分の生活そのものを見直す
国民病と言われる腰痛ですが、決して避けられない病気ではありません。腰痛は、普段の悪い姿勢や動作が原因となっている生活習慣病でもあるわけです。
病院や治療院に通うのもいいですが、一方的な治療に依存しているだけでは、なかなか腰痛は治りません。自分自身でも、腰痛になりやすい姿勢や動作を続けていないか、生活そのものを見直してみてください。
私もそうでしたが、それに気付くと、思いの外、腰痛を早く改善することができます。
デスクワークの多い人は、下記の記事も参考にしてみてください。