腰痛を抱えていると、スポーツや運動に不安を覚えるものですね。また、仕事であっても、腰に負担の掛かる作業はなるべく避けたくなるものです。
とはいえ、じーっと安静にばかりもしていられません。体を動かないことで、かえって腰痛は悪化してしまうケースも多いのです。
今回は、スポーツの前後にしておくと良い「腰痛予防の運動」をご紹介します。これはスポーツに限らず、腰に負担の掛かる作業をする前後にお勧めの予防運動です。
その場で簡単にできる運動なので、ぜひ試してみてください!
腰痛の予防運動は大切!
ゴルフやテニス、野球、サッカー、水泳、ジョギングなど、スポーツを楽しまれている方は多いと思います。
スポーツは健康のために良いことは言うまでもありませんね。生活にもメリハリが出ます。
ただ、スポーツで使う筋肉は、普段はあまり使わない筋肉を使ったります。それを急激に動かしたら、体に良くないことは誰にでも分かりますよね?
また、ゴルフならばスイングするフォームは決まっていますし、野球ならば右利きの人は右腕でボールを投げます。どうしても特定の筋肉だけを多く使い、体の左右でも偏った動きが増えます。
特に腰痛の人は、腰椎や骨盤に歪みが生じている場合がほとんどです。その状態でいきなり、このような運動を始めたら、よけいに歪みが生じてしまいます。
体に良いはずのスポーツで、腰を痛めてしまったら身も蓋もありません。そのために、腰痛の予防運動をしておくことが大切なのです。
予防は治療に勝ると言います。腰痛になったからの治療は大変です。スポーツや作業をする前に、ちゃんと準備運動をしておくことをお勧めします。
スポーツの前に、骨盤や腰椎の歪みを調整する予防運動
腰痛予防のための準備運動のポイントは、何でしょうか?
それは、体の土台である骨盤、それを支えている股関節、骨盤の上の腰椎を、歪みのない状態でスムーズに動かせるようにすることです。
そのためには腰まわりの筋肉を緩めて、柔軟に伸び縮みできるようにします。
そう考えると、腰を回す運動が良いと思うかもしれません。しかし、腰を回す運動は、それ自体が複雑な動きをしているので、すぐにやっても効果が出ません。
また、そもそも骨盤や腰椎に歪みがある状態で腰を回すと、かえって痛めてしまう恐れもあります。
そこでお勧めするのが、「ひざの屈伸運動」なのです。「腰なのに、ひざの屈伸?」と、意外に思うかもしれません。私も最初はそう思いました。
実は、骨盤を支える両足の足首、ひざ、股関節を左右同時に動かすと、骨盤や腰椎も連動して、左右のバランスの歪みを自然に調整できるのです。
体は繋がっているので、「なるほど!」と納得できますね。では次に、具体的にやり方をご紹介します。
腰痛予防に効果のある、ひざの屈伸運動
スポーツや作業をする前に、下記の準備運動をして腰痛の予防をしましょう!
1 両脚を肩幅ぐらいに開く
2 ゆっくり腰を曲げながら、両手を骨盤から太もも、ひざ頭まですべらせるように移動させる
3 ②の逆の動きで、両手をひざ頭から太もも、骨盤と這わせながら腰を起こす
4 ②と③を2~3回繰り返し、腰椎、骨盤、股関節の動きをならす
5 ②のようにして両手をひざ頭に置き、ひざの曲げ伸ばしを繰り返す
『腰痛が治るのはどっち?』より
いかがでしょうか?
文字にすると複雑な動きのように見えますが、実際にやってみると簡単です。ひざの屈伸運動ですから、場所も取りません。その場でできますね。
ひざの屈伸運動は、勢いをつけて行わないようにしてください。ゆっくり自然に動かすようにするだけで、それぞれの関節がスムーズに動くようになります。
ひざの曲げ方については、以下の点に注意してみてください。
- ひざは前にスライドさせるイメージで、まずは軽く曲げること。
- ひざの曲げ伸ばしを繰り返しながら、痛みが出ないところまで、少しずつひざを深く曲げていく。
- 目線は下を見ずに、必ず正面を見ること。
ちなみに、このひざの屈伸運動は、他の腰痛体操などをやる前にもやっておくと、さらに腰痛改善の効果が高まると思います。
まずは腰まわりの筋肉を柔らかくしておくことが大切なのです。
スポーツ後のケアも大切
スポーツをした後に腰が痛むという人は、けっこう多いようです。
実は、原因を探ってみると、スポーツ中の動きで腰を痛めたケースよりも、スポーツ後のケアの不足が原因で、腰痛になっている場合が多いのだそうです。
運動した後には、緊張が筋肉した状態になっています。
緊張した状態とは、筋肉が硬く縮こまって血行不良を起こしている状態です。こうなると筋肉内に疲労物質(乳酸や老廃物)が溜まりやすく、それが神経を刺激して痛みの原因になります。
ひざの屈伸運動をすることで、この緊張した筋肉を緩める効果があります。
また、緊張した筋肉を緩めることで、骨盤、腰椎、股関節の歪みも同時に防げます。骨格の歪みは、緊張して縮こまった筋肉が、骨を引っ張ることで生じているからです。
筋肉の緊張と骨格の歪みが常態化すると、腰痛を発症させてしまいます。スポーツをした後にも、ひざの屈伸運動を行うことをお勧めします。
背中を丸めて座る「体育会座りの姿勢」に注意!
「スポーツの前後に、ひざの屈伸運動をしましょう!」という話をしてきました。さらに注意してほしいことがあります。それはスポーツ後の姿勢についてです。
先日、野球場のある公園を散歩していたら、少年野球チームの子どもたちを見かけました。試合の後だと思いますが、地べたの上で体育会座りをして、監督の話を聞いていました。
しばらく経ってから、再び同じ場所に戻って来ると、少年たちは体育会座りのまま、まだ監督の話を聞かされていました。
最初に見た時から20分は経っていましたから、それ以上の時間、少年たちは体育会座りの状態を続けています。監督も指導に熱が入って、一生懸命に話していたのだと思います。
でも、これは腰痛を発症させる原因になってしまうのです。
体育会座りは、どうしても猫背の姿勢になります。この姿勢を、スポーツ後の疲れた体で長時間続けたら、腰に良いはずがありません。
さすがに注意はできませんでしたが、学校の先生やスポーツで指導者の立場にある人は、なるべく長時間の体育会座りはさせないように注意したほうが良いと思います。
皆さんも、スポーツや激しい運動をした後には、やはり疲れていますよね? そのため、ぐったりとして背中を丸めた姿勢でベンチに座っていたり、休んだりしていませんか?
この猫背の姿勢は、腰痛の原因になるのだ!と覚えておいてください。日常的にスポーツをしている人や、腰に負担の掛かる仕事をしている人は、特に気を付けてください。
そして、スポーツや作業をする前後には、ひざの屈伸運動を習慣にして、腰痛の予防に努めましょう!